はじめに

インターネットなどで検索すると、「ヒトプラセンタサプリは医療機関で処方してもらえる」、「ヒトプラセンタ個人輸入代行します」などと書かれたサイトがでてきたり、逆に「人間のプラセンタは注射しか認められていない」「未承認医薬品だ」と不安になるようなことが書いてあったりと、色々な情報が飛び交っていて、何が本当なのか分かりません。今回は、そんなヒトプラセンタについて少し整理したいと思います。

そもそも、ヒトプラセンタって?

胎盤ヒトプラセンタとは、妊娠した女性の子宮でつくられる「赤ちゃんを守るための胎盤(臓器)」のことです。この胎盤を加工してできるのが、ヒトプラセンタエキスなどです。ヒトプラセンタには様々な栄養素や機能性があると言われ、昔から生薬としても利用されてきました。

 

 

ヒトプラセンタサプリは違法か?

結論からいえば、ヒトプラセンタのサプリメント(つまり食品)を、商用目的で製造や販売(譲渡も含む)することは、日本では認められていません。ただし、個人用に購入して使用することは、禁止されていません。これを、もう少し詳しく説明していきます。

処方箋日本においてヒトプラセンタは、お医者さんの判断で処方される「処方せん薬」として国から指定を受けて、薬事法のお墨付き(承認)をもらった「お薬」※1にしか入っていてはいけない成分です(専門的な成分名はヒト胎盤絨毛分解物など)。
だから、サプリメントや健康食品、化粧品といった薬以外のものにヒトプラセンタは使えませんし、使った時点でそれはサプリや化粧品ではなく「薬」とみなされます。薬には許可や承認といった色々なルールがありますので、ルールを無視して勝手に製造したり輸入・販売※2する行為は、「無承認無許可医薬品」を製造・販売※2したことになり、薬事法違反で罪に問われてしまいます。
(名前は伏せますが、有名なプラセンタの製薬会社さえも、無承認無許可医薬品を製造販売※したとして、過去に厚生労働省から薬事法違反の指導を受けています)。

サプリメント(食品)ではなく、ちゃんとした薬として国に申請して、承認が下りれば問題はありませんが、実は日本で国の指定・承認を受けたヒトプラセンタの薬は「注射薬」しかなく、ヒトプラセンタを使ったカプセルタイプの内服薬などは、今のところ国内で誰も製造販売※2できません。

個人用に購入して使用することは禁止されていなくても、誰も製造販売できないのであれば、日本のお医者さんがヒトプラセンタの内服薬を仕入れて処方することもできませんし、海外でヒトプラセンタ内服薬やコスメを利用していた人が日本で購入することだって不可能ですよね?

そこで登場するのが「個人輸入」です。

※1:正確には、処方せん医薬品指定の医療用医薬品として薬事法の承認を得た薬。ただし十数年前までは、処方せん不要の一般用医薬品にもヒトプラセンタが使われていました
※2:ここでいう「輸入・販売」や「製造販売」は、専門用語で「上市」するといい、通常の製造や販売することとは少しイメージが違いますが、話が脱線してしまいますので詳細は割愛します。







個人輸入ならヒトプラセンタが利用できる

日本以外の国では、注射薬以外のヒトプラセンタ医薬品やサプリメント(食品)が普及しているところもあります。もちろん、これらを日本に持ち込めば、例外なく「無承認無許可医薬品」として取り扱われます。

ところが無承認無許可医薬品は、前の章で説明したように、製造販売(商用での輸入販売も含む)すれば違法ですが、使用(個人使用の輸入)に関しては禁止されていません。特にお医者さんの場合、患者さんに処方する目的で個人輸入することも、お医者さんの責任の範囲で許容されています。
※個人輸入であれば、いかなる無承認無許可医薬品も輸入できるわけではありません
この背景には、医薬品の承認に時間やコストがかかる日本で、適切な医療が受けられず困っている患者さんのために、治療方法の選択肢を増やす目的などがあります(一般の人は、個人使用の目的で輸入した無承認無許可医薬品を、他の人にプレゼント・転売した時点で違反になります)。

色々なところで耳にする、ヒトプラセンタサプリや内服薬が医療機関でしか処方できない、個人輸入ならOK、といった話は、つまりこういうことなのです。
ただし個人輸入するには、一般の人でもお医者さんであっても、それぞれ正規の手続きが必要ですし、お医者さんが患者さんに処方する場合は、治療の合理性やインフォームドコンセントが求められます。また、無承認無許可医薬品にはリスクもあります。

無承認無許可医薬品のリスク

一度、インターネットなどで「ヒトプラセンタ 個人輸入」などと検索してみてください。たくさんのサイトがヒットします。
ところで、このヒットするヒトプラセンタ製品は、間違いなく本物でしょうか?もし「本物」だったとしても、正しく保管されていたという保障はあるでしょうか?
薬に限らず、個人輸入に多いトラブルは「偽物」や「不良品」です。洋服などならまだしも、口に入れるものや肌に塗るものが、実は得体のしれない偽物や品質の劣化した製品だったなんてことになれば、健康被害にもつながりかねません。個人輸入される方は、そういったリスクがあることをよく考えて、確実に信頼できる相手かどうか見極める必要があります。

医療機関であれば、海外製品も正規のルートから調達(個人輸入)していますし、効果効能や安全性についてしっかりと把握されているはずですが、万が一のことがあっても、国が効果効能や安全性を承認していない「無承認無許可医薬品」には、補償がありません。治療前に医師から受けるインフォームドコンセントなどで、よく相談するようにしましょう。
※無承認無許可医薬品は保険の対象になりません。

最後に

この記事は、無承認無許可医薬品の使用や個人輸入を、推奨するものでも否定するものでもありません。
また、もしこの記事を読んでいる方の中に、ヒトプラセンタサプリやその他の無承認無許可医薬品の紹介やアフィリエイト広告などをお考えの方いらっしゃる場合、無承認無許可医薬品の効果効能を標榜することは「医薬品等適正広告基準」に抵触する恐れがあります。ご注意ください。