医療機関でプラセンタ治療を受けるとき、健康保険※が使えると言われる方もいれば、保険※のきかない「自由診療」になると説明される方もいます。どうしてこんなことが起きるのでしょう?
※ここでいう保険・健康保険は公的医療保険のことを指しますが、分かりやすいようにこの記事では保険または健康保険と呼ぶようにします

そもそも保険の仕組みって、どーなってるの?

治療薬に健康保険が使えるか使えないは、その治療薬を国が承認しているかどうかで決まります。承認されるまでの大まかな流れは、次のようなイメージです。

製薬会社が新薬を開発したら、必要な手続きをして国に承認を求める

新薬の効果効能や用法用量などが国に承認されると、製造販売する許可が下りる

許可が下りると、次は保険が適用されるよう、製薬会社から「保険適用希望書」が国に提出される

国は、承認した新薬の効果効能や用法用量などに基づいて、保険の適用範囲を審査する

審査に通れば、国が保険を使ってもよいと定めた効果効能や用法用量の範囲で治療するときに、保険などが使えるようになる(専門用語で、保険収載といいます)

保険ここで注意が必要なのは、「国が保険を使ってもよいと定めた効果効能や用法用量の範囲で治療するときに」というところです。
保険が使える薬であっても、国の定めた効果効能や用法用量から外れた治療を目的にしている場合は、保険が適用されません。特に、健康増進や美容目的といった「生命にかかる治療とは言えないもの」は、保険適用の範囲から外されるケースがほとんどです。

これが、プラセンタでも健康保険が使えるケースと使えないケースがでてくる理由です。







プラセンタ治療で保険が適用されるケースとされないケース

プラセンタ療法は、プラセンタがもつ色々な有効性を利用して、医師が患者さんにプラセンタを処方する治療法です。処方されるものは、プラセンタ注射や内服薬、サプリ、化粧品(軟膏)など様々です。

この処方されるものの中で、「ラエンネック」と「メルスモン」という2つのプラセンタ注射剤は、保険が使える医薬品です。ただし、このプラセンタ注射で保険が適用されるためには、治療の目的や用法用量に一定の条件があります。
例えば、次のような内容でプラセンタ注射を受ける場合は、保険が適用されます。
ラエンネック:慢性肝疾患における肝機能改善のため、通常1日1回、2mlを皮下または筋肉注射(症状により2~3回注射注射することができる)
メルスモン:更年期障害、乳汁分泌不全に対して、通常1日1回、2mlを毎日または隔日に皮下注射
※各製剤の添付文書にある効果効能・用法用量より

プラセンタ注射ところがプラセンタ注射は、これ以外の目的や用法用量で処方されることもあります。例えば、疲れを取るためや、肌荒れを治すためといったときです。この場合は保険が使えません。
また、ラエンネック・メルスモン以外のプラセンタ製剤(薬)は、そもそも保険適用が認められていませんので、どういった目的でどのように処方されても、自由診療(保険の利かない治療)となりますし、サプリメントや健康食品などはそもそも薬ですらありませんので、当然ながら保険は使えません。

あと、もう一つ注意しなくてはいけないのは、「混合診療」と呼ばれるものです。
混合診療とは、「保険適用の治療」と「保険適用外の治療」を併用することで、日本では原則禁止されています。そのため、治療内容のなかに一つでも「保険適用外の治療」が含まれる場合は、それまでの治療も含めて全て、100%自己負担の自由診療とされてしまいます。
例えば、更年期障害など保険適用の範囲でプラセンタ注射を受けたとしても、それと一緒に「海外でしか承認されていない保険適用外のプラセンタ内服薬(無承認無許可医薬品)」も処方してもらう場合、混合診療とみなされて、治療の全てが保険適用外治療となってしまう可能性があります。

将来的には、プラセンタ療法で保険が使えるケースが増えるかも?

これまでで説明した、保険が適用されない目的や用法用量で投薬することを、海外では適用外使用(Off-label use)といいます。ところが日本の場合だと、この「適用外使用」の意味が少し違っています。

世界的に、日本は新しい治療法や薬の承認に時間もお金もかかる国だと言われています。そのため、有効な治療薬であっても保険が使えず、困っている患者さんが出てきてしまいます。この問題を解消するために、適用外使用あっても、国が必要だと認める場合は例外的に保険が使えるようにするという旨の発表がありました※。(※.55年通知と呼ばれています)

日本で「適用外使用」というときは、この例外的に保険が使えるときの適用外使用を指すことがあります。

いまのところ、プラセンタ療法で保険が認められた適用外使用はありませんが、これからプラセンタの有効性が明らかとなり、困っている患者さんに必要だと認められる事例が出てくれば、将来的には保険が使えるプラセンタ治療が増えてくるかも知れません。

最後に

この記事は公・民の各種資料や筆者の知識に基づき記述されたものですが、治療の効果効能や保険の適用などに関して保障するものではありません。治療や保険については、必ず医師や専門家にご相談下さい。