子どもを切に願う家族にとって、不妊治療は生命線です。その中でも近年幹細胞使用した不妊治療が注目を浴びてきています。ここでは幹細胞についてご紹介していきます。

私たちの身体は細胞でできている

細胞私たちの身体が細胞という小さな小さな小部屋で成り立っているのは皆さんご存知かと思います。無数の細胞の連なりによって組織ができており、ひとつの人間の身体を構成しています。
しかし、ふとそれぞれの身体の部位に目を向けてみると、ひとつひとつ機能が違っていることに気づくでしょう。手の細胞、爪の細胞、髪の毛の細胞・・・。同じ「細胞」といったもので作られているのにもかかわらず、見た目も役割もまったく異なる部位となっているのが現状でしょう。
これは、細胞にはそれぞれその部位で専属の役割をもつよう、私たちの身体がプログラムされているためです。これを、「分化」と呼んでいます。そして、人間にはもともと持っている新陳代謝の能力があります。一度役割が決定した細胞は、それぞれ一定の周期でまったく同じ役割をもつ新しい細胞へと入れ替わっていきます。
このようにして、私たちの身体は機能不全に陥ってしまわないよう日々つくり変えられ、状態を保っています。

幹細胞はすべての細胞の源

赤ちゃんしかし厳密に言うと、すべての細胞は最初から役割が完全に決まっているわけではありません。私たちが精子と卵子であったころ、こうした役割は当然まだ細胞は持っておらず、人間の形もしていません。
人間の精子と卵子が出会い、受精をした後、徐々に細胞が分裂していき、内にもつ設計図どおりにその形がつくられていきます。このとき初めてそれぞれの細胞に役割が与えられ、個々が専門の機関として分化していくのです。ここで少し視点を変えてみると、分化して役割が与えられる前の状態では、「何の役割も持っていない細胞」が存在していることになります。いいかえると、それは「どんな身体の部位にもなれる可能性のある」細胞と表現することもできます。

この大元となる細胞こそ幹細胞といわれる存在です。もし、こういった細胞をつくることができ、そして人工的に特定の器官へ成長させることができる技術があるとしたら。それは、事故や病気など何らかの形で身体の一部を失ったり傷害を受けた場合、その部位を選択的に作ることが可能となります。そうすれば、今まで治すことのできなかった先天性の心臓疾患やほかの人から組織をもらう臓器移植での拒絶反応を気にすることなく、自分の組織を再生させることが可能となりますね。
これこそが幹細胞治療が脚光を浴びているポイントであり、次世代の医療といわれている部分です。そして、生殖医療においても、精子や卵子をこの幹細胞を使用することで作り出そうとする試みが実行に移されています。

まとめ

私たち固有の細胞から、新たに必要な組織を追加で作ることができたら、さまざまな怪我や病気にかかった場合でもより安全に治療ができそうですよね。神の領域とされていた生殖医療においても、近年こうした発展がみられているというわけです。